昨日は今年最後の“真夏日”だったようですね、皆さん、どうぞ気温と気圧の変化にお気を付け下さい。

SNSをブラウジングしていたら、元『SMAP』メンバーの台本事情に関する記事に思わず目が止まりました。

週刊誌記者だった頃、ドラマの収録現場への潜入取材は重要なルーティン・ワークだったので、『日刊大衆』が報じた“台本”というキーワードに敏感に反応してしまったというわけです。

記事によれば元メンバーの香取慎吾は、現場にはセリフを入れないで~セリフを覚えてこないで~撮りに入るとありました。

当日のロケの雰囲気、衣装、自分と役柄の精神状態をライブで感じながらその役柄を少しづつ作り上げていくということでしょうか。

なので香取の現場では、作り込まれていないセリフが飛び交い、共演者たちはちょっとしたカオス状態になることもあるそうです。

もうひとり、元メンバーの木村拓哉は香取とは正反対。
現場には完璧すぎるくらい完璧に、台本1冊丸々覚えているんじゃないかというぐらいに撮影に臨むといいますから性格なのでしょうか、几帳面な一面を感じさせます。

たぶん彼の中では台本を覚えた段階で、既に演技プランが出来上がっているのでしょうね。

仕事に臨むこんなスタイルの違いを持った人間が集まるわけですから、何年か経ったグループ・アーティストがよく理由に挙げる“方向性の違い”で解散に至るのもわかるような気がします。

最初はお互いにリスペクトし合って認めていたものの、それぞれが仕事の経験を積んでいくと“それはちょっと違うだろう…”と感じてしまい、我慢できなくなっていくのでしょう。

これまでたくさんの収録現場を取材した私ですが、現場にセリフを入れない役者より、完璧に頭の中に入れてくる役者の方が多いのではないかと思っています。

セリフを入れない役者の中で特に印象に残っているのは、現在“狩人兼役者”という職業の東出昌大です。

彼は『コンフィデンスマンJP』の現場で、台本を片手に畑の中を、まるで野生児のように駆けずり回っていました。

当時何か事情があったのでしょう、事前に覚える時間がなかったのでしょうか、台本を片手にブツブツ言いながら動き回っていたものです。

この収録から約2年後、『寝ても覚めても』での共演をきっかけに唐田えりかとの不倫が発覚するわけです。

また、セリフ覚えに七転八倒する姿を、私は『ブラックペアン』でも目撃していました。

収録現場だった千葉県郊外の総合病院控え室で、スタッフを前に“あ~…セリフが覚えられない…”と言ってのたうち回る竹内涼真の姿を…。

当時彼は吉谷彩子という女優と同棲中で、プライベートでのスキャンダラスな噂もチラホラと聞かれていた頃でしたから、東出と同様、何かセリフを覚える時間がないほどの事情があったのかもしれません。

事程左様に、役者の台本を読む、セリフを覚えるという作業は大変な仕事と言えるでしょう。

香取の場合、セリフを一字一句あえて入れず、それでいて台本の流れは十分に把握できていて、全体的な視野で当日の芝居に臨んでいるということだと思います。
リアルな役柄を演じたいための、セリフに“生命力”を与えたい気持ちからなせる行為なのではないでしょうか。

『マスカレード』シリーズで、長澤まさみがキムタクとの共演を“気疲れする”とか“息苦しい”と感じていたとの報道も一部ではありましたが、几帳面なキムタクの現場への入り方を考えれば、この言葉の意味も少しは理解できるような気がします。

『日刊大衆』にあったこの“台本事情”の記事に、私は香取とキムタクのそれぞれの生き様が見えたようで、少しだけ楽しい気持ちになりました。